新宿のビル街に地方出身者は怯む
天下無敵の過密都市東京の中でも、新宿というのはそのなかでも随分と賑やかで混み合った街でありまして、自分のような地方出身の人間にとってはなかなか疲れる場所だったりする。一応これでも東京に住んで一年以上は経つのだけれど、未だに慣れない。
とはいえ何かと用事があって行く事の多い場所でもある(用事というのはメンテナンスの為、新宿のリコーイメージングスクエアに行く事が過半だったりするのだけど……)。
用事のついでにカメラ片手にブラブラしていると、「おっ」と思う空間が突如表れたりするのは面白い。
GRⅡは特にコンパクトで良く写るので、町歩きをする時に重宝する。ペンタックスユーザーなので勢いで買ったという側面があるカメラなんだけども、後から確かな価値を見出せてきた。
街とモノクロっていいよね。
トマソンと化した公衆電話台。
リコーイメージングスクエアのある新宿センタービルは結構古い建物のようで(調べたら79年竣工)、構造のところどころに時代時代の面影がある。
思い出横丁近辺の猥雑な感じ。この辺りは望遠を持った外国人観光客の姿を頻繁に見かける気がするけど、気のせいだろうか。
オウオウ、圧縮効果だかなんだか知らねえがパースペクティブだよパースペクティブ(何なのかよく分かっていない)。広角を使いタマエ、君たち。
西口から東口へ。
地方民は東西南北を山や海と関連付けて把握するのだけど、ネイティヴ帝都民は何に関連付けるのだろうか。
自分の場合、方角を覚える時には駅を起点としている。東口を出れば東、西口を出れば西。西口を出て来たので、右手は北で左手は南。味も素っ気も捻りも無いがこれでなんとなく分かる。そういう意味で、新宿駅は巨大だが親切だ。東と西と南。分かりやすい。話の通じるやつだ。
こういうギョッとする建物と出くわすとチョット得をした気分になる。あまりに有名な店じゃダメなのさ。「SNSで話題の〜」なんて枕言葉が付いた瞬間、魅力がスポイルされてしまう。ヘソ曲がりのカメラマンは手垢の付いたものを嫌いますので。
街頭の空気を写しとれたらナ、なんて思ったり。
よく、優れたレンズの評価として「空気が写る」なんてものがありますが(FA Limitedとかまさにその代表格)、空気を切り取るセンスをもう少し伝わる形で教えてくれませんかね、と思う次第。
落書きしちゃいけません、というのは道徳的には全く正しいのだけれど、こういうのを見ちゃうと笑ったり感心したりしてしまうのは仕方ないよね。
ただまあ、こういう事が出来てしまう場所である事も確か。終電の終わった夜中に一人で歩きたくはないねえ。魔都トーキョーの無法空間シンジュク。外国人が映画とかでよく分からん謎空間として描くのも分かるような。
さっきの落書きステッカーまみれから、ほんの少し目を転じれば暗黒メガコーポのメガストラクチャーが。
いっそ東亜重工と大書してくれると楽しい。百万年法人税免除。どんどん増改築して階層都市新宿になってみてもいいんじゃないかな。BLAMEだよBLAME。面白いから読みましょうや(ダイマ)
ハードSF怖い、グロいと思う向きにはこちら。逃げ道は無い。いいから階層都市だ。
いつかは階層都市感のある写真を撮ってみたいなァ。その時はよろしく頼むよGRⅡ。